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各界の方が考える「食育」をコラム形式でご紹介いたします。
Vol.008 『食の伝承8 情報の哲学』
食生活ジャーナリスト 村上紀子さん
食の教育にはぜひこれを含めて、と願うテーマは人によりさまざまですが、私は「情報についての学習」を挙げたいと思います。
近年よく見聞きする「メディア・リテラシー」という言葉。これにはテレビや新聞、パソコンその他のいろんなメディアからの情報を、「批判的に読みとり、自分からも発言できて、このメディア社会を主体的に生きていく力」といった意味が込められています。
食生活の情報、そのなかでも次の二つのグループには特に、こうした意味合いのリテラシーが必要な時代だと痛感するからです。
まず、食品の安全性についての情報です。
アメリカ同時多発テロの前日、日本ではBSE牛発見という衝撃が走りました。全島を検査するので安全です、と言う政府。危険性は完全にはぬぐえない、と みる専門家もいる。買い控えが急増しました、の報道もある。さあ自分はどうするか。改めてこうした情報の受け止め方が問われました。
たとえば「リスク」という考え方。「この食品は、安全か危険か、ではなく、その中間のどこに位置するのかを割り出して、その食品のプラス面も併せて判断 しよう」といったものですね。ここから、いつまでも100%の安全を要求する「ゼロ・リスク症候群」の消費者、そんな言われ方も出てきました。これには反 発をおぼえますが、少なくとも白か黒かの発想は切り替えがいるようです。
もう、むやみに不安をあおられまい、自分はどう警戒するか自分で決めよう、という姿勢。食品安全の問題に意見を出し、情報交換もする。そこまで視野にいれた情報の学習が、いまは必要なのでしょう。
もう一つのグループは健康情報です。
長年このグループの情報を調べてきて気づくことの一つは、いかにも科学的な説明で説得にかかろうとする傾向が、最近いよいよ強まってきたという点です。専門用語だの、実験の報告だの、科学者の解説だのと、説得の仕方は非常に手が込んできました。
よく「鵜呑みにしないで、正しいかどうかを見極めて」などと言われますが、話半分に聞くことならできるとしても、その情報が正しいか否かを見極めることとなると、専門家でもない限り、とてもむずかしい。
そこでせめて、健康情報とは一体どんな性格をもつ情報なのかぐらいは知っておき、真偽はわからないながら、その情報を取るか捨てるかの大まかな目安は持 ち、真偽を確かめたい場合はどうすればいいかを知っていること。この辺りまででも、情報の学習をしてあるか無いかでは、情報への対応にかなりの違いが出そ うです。
今後、情報は増加の一途だとしたら、受け身でなく自分から情報をさばく力を、子供のうちから身につけさせた方がいいのでしょう。大人が先かもしれませんが。
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